2013年10月22日火曜日

「数学は言葉 新井紀子」読了


数学は言葉 新井紀子 東京図書」読了.

数学から離れて数十年.最近,数学をもう一度勉強し直そうと思い,集合と位相の本を読み始めたが頭がついていかない.書いてある言葉が理解できていないんだな.

学生の頃から数学は言葉であることは分かっていたが,どうやらその言葉が十分に理解できなくなったようだ.


基本からやり直そうと手に取ったのが,以前から気になっていたこの本.数日で読めて,ああそうかと納得.大学初年度の頭には戻れそう.

しばらくは,初心者コースで頭の馴らしをしよう.

2013年10月20日日曜日

「書くことについて スティーブン・キング」読了


書くことについて スティーブン・キング 小学館文庫」読了.

スティーブン・キングが自分の作家生活を振り返って,書くこと,すなわち,小説を仕上げることをいかにして身に付けていったか,また,彼にとって書くこととはどのようなことかをまとめたもの.

2001年に出版された「小説作法」の新訳版である.

「作家になるために絶対しなければならないことはたくさん読んで,たくさん書くことだ」と彼は書いている.プロットは使うな.ストーリーは自然に出てくる.副詞は使うな等々.小説を書くときに彼が注意している事がなんなのかがわかる.単なるハウツー本ではない.

彼の小説が仕上がっていく過程が想像でき,彼の仕事場,書斎でその様子を間近に見ているようだ.

スティーブンのアプローチは小説だけでなくその他の文章を書く際は有益である.また,小説やその他の文章を読む際にも当然有益である.

2013年10月16日水曜日

「失敗談 外山滋比古」 読了


失敗談 外山滋比古 東京書籍」 読了.

「人生における失敗は人間を強くしてくれる」ということを体験等のいろんな話をもとに書かれている.

過去の著作の内容と重なるところはあるものの、今風に手直しされている.知ってる内容でも,読んでしまう.
失敗は無駄ではない.むしろ、失敗しないようにと育てられた,また,そのように生きている今の若者は困難や問題に直面すると弱い.

若い時は失敗を恐れず,トライすべきである.失敗,すなわち,マイナスは後々プラスになって帰ってくるものである.たくましく生きよう.

2013年10月9日水曜日

「約束された場所で 村上春樹」読了


約束された場所で 村上春樹 文春文庫」読了.

地下鉄サリン事件の被害者など,関係者のインタビューを記録した「アンダーグランド」を読んだときは,オウム,そしてオウム信者は酷い,どうしようもないなと思った.

オウム信者,元オウム信者のインタビューを記録したこの本を読むと,地下鉄でサリンを撒いたのは一部の信者で,ほとんどの信者がサリンを撒く計画すら知らされていないことがわかる.


だからといってオウムが悪くないと言うことではない.また,このようにオウムとひと括りにしてしまうのもよくないのかなと思う.

オウムも普通の会社組織となんら変わらない事がわかる.不祥事や事件を起こすのは普通の会社でもごく一部の人による.多くのまじめな社員は何も知らされていないものだ.

これを読むと私たちの社会に,そして,国家にオウムが内在していることがわかる.決して外の出来事ではない.特殊な集団が起こした事件ではないと思う.

過去,戦争を起こしていたとき,日本はオウム化していたのかもしれないと思った.

決して,忘れてはいけない事件である.未だに解決されていないし,十分に理解されていない事件でもある.


2013年10月3日木曜日

「アンダーグラウンド 村上春樹」読了


アンダーグラウンド 村上春樹 講談社文庫」読了.

1995年3月20日に起きた地下鉄サリン事件の関係者62人のインタビューを記録したものである.証言はサリンのターゲットになった路線ごとに分類されている.これを読むと,事件の酷さ,そして,被害者にとってはまだ進行形の事件であることに改めて気づく.

最後は,サリンで亡くなった和田栄二さんの両親と妻のインタビューである.最後のこのインタビューを読んでいると込み上げてくるものがあった.涙も一緒にである.

最後の章「目印のない悪夢」は,取材を通じて村上が思ったこと,考えたことが書かれている.東日本大震災と福島第一原発事故の記憶を持って最終章を読むと,政府と日本の組織は過去から何も学んでいないことを知り,がく然とした.

村上は書いている.”当日(サリン事件)発生した数多くの過失の原因や責任や,それに至った経緯や,またそれらの過失によって引き起こされた結果の実態がいまだに情報として十分に公開されていないという事実である.言い換えれば,「過失を外に向かって明確にしたがらない」日本の組織の体質である.「身内の恥はさらさない」というわけだ....”

なんか3.11以降の政府や東電の対応を思い出す.すべてに遅く,あいまいで,役に立たない.何も解決できないのが政府だ.

村上はこのような日本の組織の体質は帝国陸軍の体質となんら変わっていないという.つまり,政府,日本の組織は何も学ばず,進歩すらしていないのだ.

3.11の記憶に新しい今,読んでよかったと思う.

このような本を残してくれた村上春樹に感謝する.